矯正治療で歯を削る理由は?削るときの流れと注意点も

2026.07.16

2026.07.16

矯正治療で歯を削る理由は?削るときの流れと注意点も

こんにちは。大阪市中央区南本町「堺筋本町駅」1号出入口より徒歩1分にある歯医者「ヤマシタデンタルクリニック」です。

歯科医療器具で歯を削っているイメージ

矯正では歯を削ることがあると聞いて、驚いた方や心配になった方もいるかもしれません。虫歯治療でのイメージが強く、痛みやダメージが不安になる方もいるでしょう。

矯正治療で行う歯を削る処置は、虫歯治療とは目的も削る量も大きく異なります。歯を並べるスペースをつくったり、治療後の歯並びを安定させたりするために、必要最小限の範囲で行われる処置です。

この記事では、矯正で歯を削る理由や実際の流れ、知っておきたい注意点について解説します。

矯正治療で歯を削る目的

矯正治療で歯を削る目的を歯の模型で説明する女性

矯正治療では、歯を削るIPR(ディスキング)という処置が行われることがあります。IPRを行う目的は、以下のとおりです。

スペースを確保する

歯を削る目的のひとつは、矯正治療に必要なスペースをつくることです。もともと顎と歯の大きさのバランスが合っていないと、歯がきれいに並ぶためのスペースが足りず、歯並びが乱れやすくなります。

そのため、歯の側面を少し削ってスペースを作り、歯並びを整えることがあります。削る量はごくわずかで、歯1本につき0.1〜0.5ミリほどです。歯の表面のエナメル質の範囲内であるため、歯の健康への影響はほとんどありません。

特に歯と歯の重なりが軽度の場合は、抜歯ではなく歯を削ることでスペースを確保することが多いです。

後戻りのリスクを抑える

矯正治療で動かした歯には、力を加えなくなったあとに元の位置へ戻ろうとする性質があります。前歯の側面をわずかに削って歯の形状をゆるやかにすると、歯と歯の間にすき間が生まれにくくなり、噛み合わせの位置で歯どうしがしっかりと支え合うようになります。

その結果、歯が動きにくくなり、後戻りのリスク低減にもつながるのです。

歯を自然な形に整える

矯正治療のなかでは、歯と歯の間にできるすき間や、歯の形のバランスが目立つことがあります。特に、歯と歯の間にできる黒っぽいすき間(ブラックトライアングル)は、多くの人が気になるポイントです。

歯を削る処置は、こうしたすき間が目立たないように形を調整し、自然な見た目に仕上げるためにも行われます。歯の丸みや輪郭を整えることで、より均整のとれた美しい口元に近づけられます。

見た目の仕上がりにこだわりたい人にとっては、審美的な面で大きなメリットある処置といえます。

矯正治療で歯を削るときの注意点

手に持った虫眼鏡の中にビックリマーク

ここからは、歯を削る際の注意点について解説します。

削れる量には限りがある

歯を削って隙間を作る方法には、安全に削れる量に上限があります。IPRでは、1本の歯につき最大でも0.5mm程度までとされており、それ以上削ると歯の強度が弱くなる可能性があります。

また、加齢や歯ぎしりによってすでに歯がすり減っている場合は、削れる量がさらに制限されることがあります。そのため、誰にでも同じように歯を削る方法が選択されるわけではなく、歯の状態に合わせた判断が必要となります。

削った歯は元に戻せない

エナメル質は一度削ると再生しません。削る量はわずかであっても、あとから取り消せない処置であることは理解しておく必要があります。

そのため、本当にこの処置が必要かどうか、ほかに選べる方法はないかについて、治療前に歯科医師から十分な説明を受けることが重要です。疑問や迷いがある場合は、遠慮せずに質問しましょう。

知覚過敏が起こる可能性がある

歯のエナメル質を削ると、内部の象牙質に近づくことがあります。象牙質には細い管が無数に通っており、この管を通じて刺激が神経に伝わりやすくなるため、冷たい飲み物や甘いものがしみると感じる場合があります。

削る量そのものはわずかであるため、数日から数週間ほどで違和感がおさまることが多いです。症状が続く場合は、歯科医師に相談しましょう。

矯正治療で歯を削るときの流れ

スタートからゴールへとブロックを積み重ねる手

ここでは、矯正治療で歯を削るときの流れについて解説します。

削る部分と量の決定

主に削るのは、前歯から小臼歯にかけての側面です。歯を全周にわたって大きく削るのではなく、側面をわずかに削ります。この処置によって隙間ができるため、歯を並べやすくなります。

削る量は、歯科医師が診察をして、歯の大きさや位置を確認して決定します。健康な歯の表面のエナメル質は2〜3mm程度の厚みがあるため、少し削ったからといって、すぐに神経や血管に影響が出るわけではありません。

削る処置

削る歯の側面にやすりや専用の器具を用いて、ごくわずかにエナメル質を削ります。削る量は0.1〜0.5mm程度に抑えられており、歯の健康を損なわない範囲で行われます。

麻酔は使用されませんが、ごくわずかに削るのみであるため、痛みを感じることはほとんどありません。

研磨による仕上げ

研磨まで終えたら、最後に歯の表面を滑らかに整える研磨処理が行われます。研磨すると歯の表面がツルツルになり、歯垢や汚れが付着しにくくなります。

フッ素塗布

最後の仕上げとして、処置を行った歯にフッ素を塗布します。フッ素には歯の再石灰化を促し、虫歯のリスクを軽減する効果があります。

歯を削ることでエナメル質が薄くなっているため、フッ素の作用によって表面を強化し、健康な状態を維持することが目的です。

歯を削らずに矯正できるケース

マルマークを提示している女性

歯を削る処置は、必ずしも必要なわけではありません。歯を削らずに矯正できるケースは、以下のとおりです。

歯と歯の間にすき間がある

すきっ歯や、歯と歯の間にすき間が見られる状態では、歯を削ることなく矯正治療を行えるケースが多いです。もともとスペースが確保されているため、歯を移動させて歯並びを整えます。

拡大装置によって歯列を広げられる

拡大装置とは、顎の横幅を広げるために成長期の子どもに多く使われる矯正装置です。顎が小さい場合に、顎の骨を広げて歯が重ならずに並びやすくする土台をつくります。

顎の成長を利用すれば、歯を削らずに歯列にスペースをつくることもできるのです。大人でも一部のケースでは適応できることがありますが、子どものような成長を生かした拡大は難しくなります。

抜歯する

歯のサイズに対して顎が小さい場合など、歯を並べるための十分なスペースを確保できないときには、抜歯を行うことでそのスペースを作る場合もあります。

特に、前歯の突出感が強い症例や、歯列の幅が極端に狭い場合には、抜歯を行うことで歯が整列するための空間を作ります。抜歯する歯は、親知らずのほか、前から数えて4番目あるいは5番目の歯が選択されやすいです。

しかし、抜歯は永久歯を失う処置であるため、必要性やリスク、矯正後の仕上がりについて十分に歯科医師から説明を聞くことが大切です。

奥歯を後方に移動させる

歯を削らずに矯正を進める方法のひとつに、奥歯を後方に移動させる方法があります。歯を後ろへ動かすことで、前歯の位置を調整するためのスペースを作れます。特に奥歯の後方に余白がある場合に有効な方法です。

ただし、すべての症例に適応できるわけではなく、顎の骨の状態や歯の位置関係によっては別の対処法が必要になることもあります。

まとめ

矯正治療に満足して笑う女性

矯正治療で歯を削るIPRは、歯を並べるスペースの確保や、治療後の歯列の安定、自然な見た目に整えることを目的とした処置です。削る量はごくわずかで、健康な歯への影響を抑えた範囲内で行われます。

ただし、削れる量に上限があるため、すべてのケースに適応できるわけではありません。治療前には、目的や必要性について歯科医師から十分な説明を受けることが大切です。歯を削らずに矯正を進められるケースもあるため、自身の歯の状態に合った方法を歯科医師とよく相談しましょう。

矯正治療を検討されている方は、大阪市中央区南本町「堺筋本町駅」1号出入口より徒歩1分にある歯医者「ヤマシタデンタルクリニック」にお気軽にご相談ください。

当院は、「歯の健康に出会う歯医者」として安心・安全を心がけて診療にあたっています。虫歯・歯周病治療だけでなく、矯正治療やインプラント、予防歯科にも力を入れています。診療案内ページはこちら予約フォームもございますので、ぜひご覧ください。

山下 幸樹

■この記事の監修者

山下 幸樹

経歴
  • 2010 大阪歯科大学 卒業
  • 2011 医療法人崇仁会 小室歯科 勤務
  • 2013 医療法人社団 翔悠会 小濱歯科医院 勤務
  • 2017 ヤマシタデンタルクリニック開業
  • 2025 歯学博士取得、大阪歯科大学生理学講座 非常勤講師 就任、関西医療学園専門学校 非常勤講師 就任
所属学会
  • 日本補綴歯科学会 会員
  • 日本口腔インプラント学会 会員
  • 日本小児歯科学会 会員
  • 日本歯周病学会 会員
  • 日本デジタル歯科学会 会員
  • 日本歯科保存学会 会員
  • 福岡SJCD 会員
  • 5-D Japan 会員

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