口だけの病気じゃない?歯周病が引き起こす病気と予防法

2025.06.05

2025.06.05

口だけの病気じゃない?歯周病が引き起こす病気と予防法

こんにちは。大阪市中央区南本町「堺筋本町駅」1号出入口より徒歩1分にある歯医者「ヤマシタデンタルクリニック」です。

歯周病のイメージ

歯を支える歯茎や顎の骨を破壊する病気のことを、歯周病といいます。なかには、歯周病はお口だけの病気と思われている方が多いかもしれません。

しかし、命に関わる病気を引き起こすリスクもあるため、日頃から歯周病の予防に努めることが大切です。

今回は、歯周病が引き起こす病気や予防法について詳しく解説します。

歯周病とは

歯周病で歯みがきで歯茎から血が出たイメージ

歯周病は歯茎や顎の骨に炎症が起こり、歯を支える組織が破壊される病気です。進行すると、最悪の場合には歯を失うこともあります。主な原因は磨き残しで、初期段階では自覚症状がほとんどありません。

しかし、以下のような症状がある場合、歯周病を患っている可能性があるため注意しましょう。

  • 歯茎の赤み・腫れ
  • 軽い刺激で歯茎から出血する
  • 歯茎が下がる
  • 歯がしみる
  • 歯がぐらつく
  • 硬いものが噛めない

初期の歯周病の場合、まずは歯茎の赤みや腫れを引き起こすことが多いです。これにより、歯ブラシが当たる軽い刺激だけでも出血が見られる場合もあるでしょう。

しかし、痛みなどの自覚症状はほとんどありません。そのまま静かに病状が進行すると、炎症の範囲が広がり、顎の骨が吸収され始めます。これにより、歯茎が下がって歯が長く見える、歯がしみる、歯がぐらつくなどの症状が現れることがあります。

さらには、歯が自然と抜け落ちることもあるので注意が必要です。

歯周病が病気を引き起こすって本当?

歯周病で脳や心臓が病気になるイメージ

歯周病になると、歯茎の腫れや膿、歯のぐらつきなどの症状を引き起こします。そのため、口内だけに起こる病気と思われている方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、歯茎の炎症や出血が慢性化すると、傷口から容易に歯周病菌が入り込み、血管を通って全身を巡ることがあります。これにより、以下のような大きな病気を引き起こすことがあるのです。

糖尿病

歯周病と糖尿病は深い関係にあり、合併症のひとつといわれています。歯周病を患うと血糖コントロールが難しくなるため、糖尿病が悪化しやすくなります。

逆に糖尿病になると免疫力が低下するため、歯周病になるリスクが高まるのです。歯周病が悪化するスピードを早めるリスクも高くなるでしょう。そのため、糖尿病の方は、お口の中を清潔に保ち、日頃から歯周病を予防することが欠かせません。

動脈硬化

動脈硬化とは、文字通り動脈が硬くなって血流が悪くなる病気です。血管に入り込んだ歯周病菌が血管の内壁にプラークを形成すると血管が狭くなり、血流が阻害されます。これによって、動脈硬化を引き起こすことがあるのです。

動脈硬化が心臓で起これば狭心症や心筋梗塞、脳内で起これば脳梗塞やくも膜下出血、脳出血などの命を脅かす病気を引き起こすことがあるでしょう。

ただし、動脈硬化は歯周病だけではなく、加齢や偏った食生活、ストレス、生活習慣の乱れなどが原因で引き起こされることも多いです。

誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎とは、加齢や筋肉の衰えなどにより飲み込む力が弱くなり、肺に誤って入った細菌により肺炎を引き起こす病気のことです。健康な方の場合、誤って気管に飲食物が入り込んでも、咳き込むことで異物の侵入を防げます。

しかし、高齢者や疾患により嚥下機能が低下している方の場合、飲食物に付着した歯周病菌が肺に到達することがあるのです。特に、高齢者は日々のケアにより歯周病を予防することが欠かせません。

認知症

歯周病菌が脳内に到達すると、記憶障害を引き起こし、認知症の原因になることがあります。

認知症のなかでもアルツハイマー型認知症は、歯周病菌の影響を受けやすいといわれています。なぜなら、歯周病菌はアルツハイマー型認知症の原因物質である、アミロイドβの蓄積・生成を促す作用があるからです。

また、歯周病の悪化により健康な歯の本数が減少すると、咀嚼力が低下します。これにより、脳に伝わる刺激が少なくなり、認知機能が低下することもあるでしょう。

骨粗しょう症

骨の量が減って、骨折しやすくなる病気のことを、骨粗しょう症といいます。

特に、閉経後の女性が患うリスクが高いといわれています。これは、閉経により、女性ホルモンのバランスが悪くなりやすいからです。特に、骨を健康に保つ作用のあるエストロゲンの分泌量が低下すると、顎の骨も脆弱になります。

さらに、口内の炎症を引き起こす物質も生成されることで、閉経後の女性は歯周病を引き起こしやすく、さらに悪化もしやすい状態なのです。

早産・低体重児出産

歯周病が重症化し、歯周病菌が血管に入り込んで子宮にまで達すると、子宮の収縮が促されることがあります。これによって、早産や低体重児出産を引き起こすことがあるのです。

また、妊娠中は女性ホルモンの増加により、歯茎の腫れや出血などの症状が現れやすいです。そのため、妊娠前に歯周病を患っていない場合でも、妊娠したことにより歯周病を引き起こすことがあります。

女性ホルモンが特に増加する妊娠中期~後期は、歯茎が炎症を起こしやすいです。そのため、妊娠中も体調が落ちついているときに歯科検診やクリーニングを受け、口内環境を整えましょう。

歯周病を予防する方法

歯周病予防で禁煙するイメージ

ここでは、歯周病を予防する3つの方法をご紹介します。お口の中を清潔に保ち、歯周病を予防できれば、全身の病気の予防にもつながるでしょう。

毎日の歯磨きを丁寧に行う

磨き残しが多いと、口内の細菌の働きが活発になり、歯周病を引き起こすリスクが高くなります。特に、以下の部分には汚れが残りやすいため、丁寧に歯磨きを行ってください。

  • 歯と歯の隙間
  • 歯と歯茎の境目(歯周ポケット)
  • 歯の裏側
  • 奥歯の溝

これらの部分には歯ブラシが届きにくいため、汚れが残りやすいです。歯ブラシの毛先が曲がらないよう、やさしい力で汚れをかき出すように磨きましょう。特に、歯茎の境目や歯の裏側を磨くときは、毛先がきちんと当たっているか意識することが大切です。

また、歯ブラシだけではすべての汚れを落としきれない場合があります。そのため、歯間ブラシやデンタルフロス、タフトブラシを併用して、細かい部分に付着した汚れもしっかり取り除きましょう。

歯磨きの仕上げに殺菌作用のあるうがい薬を使用することで、歯周病による炎症の軽減や口臭の改善などの効果も期待できます。

禁煙

歯周病を予防するためには、禁煙することが求められます。

タバコに含まれる成分によって歯茎の血流が悪くなります。これによって、免疫力が低下すると歯周病になるリスクが高まるのです。また、タバコを吸うと口内が乾燥しやすくなるため、歯周病を引き起こすだけでなく、悪化しやすくもなるので注意が必要です。

さらに、タバコは全身の病気を引き起こす要因でもあるため、口内や全身の健康を維持したい方は禁煙するのがよいでしょう。

定期的に歯科検診を受ける

歯周病を予防するためには定期的に歯科検診を受けることも大切です。歯科検診ではお口の状態を確認したうえで、必要に応じて歯のクリーニングを行います。

毎日どれだけ丁寧に歯磨きをしていても、歯周ポケットの奥深くに潜んだ汚れや歯石を取ることは難しいといわれています。

歯科医院では、歯科医師や歯科衛生士が専用の機械を使用して歯のクリーニングを行います。これにより、細かな部分に付着した歯垢や歯石を除去できるため、歯周病の予防や改善につながります。

さらに、歯の表面を仕上げ磨きすることで、新たな汚れの付着も防げるため、歯周病の予防効果が期待できます。

また、先述したように、歯周病の初期段階では自覚症状が現れにくいです。定期的に歯科検診を受け、歯や歯茎の状態をチェックしてもらうことで、歯周病の早期発見につながります。

そのため、何も症状がない場合でも、約3〜4ヵ月に1回の頻度で歯科検診を受けることが推奨されているのです。

まとめ

歯周病を治療して笑顔の女性

歯周病はお口の中だけの病気と思われがちですが、糖尿病や心疾患、脳疾患、誤嚥性肺炎など、命に関わる重篤な病気を引き起こすことがあります。

これらを防ぐためには、毎日丁寧に歯磨きを行うことと定期的に歯科検診を受けることが大切です。何も症状がない場合でも、約3〜4ヵ月に1回は歯科検診を受け、歯周病などのトラブルが起こっていないかチェックしてもらいましょう。

歯周病の症状にお悩みの方は、大阪市中央区南本町「堺筋本町駅」1号出入口より徒歩1分にある歯医者「ヤマシタデンタルクリニック」にお気軽にご相談ください。

当院は、「歯の健康に出会う歯医者」として安心・安全を心がけて診療にあたっています。虫歯・歯周病治療だけでなく、矯正治療やインプラント、予防歯科にも力を入れています。診療案内ページはこちら予約フォームもございますので、ぜひご覧ください。